メガCD

これは20年以上前。私が高校生の頃の話だ。

当時、部活をしていなかった私の放課後の過ごし方は、試験期間やその前を除いていくつかのパターンに分かれていた。

学校に残って教室で麻雀(カード麻雀)をするか、渋谷までテクテク歩いてゲームセンター、もしくはカラオケに繰り出すか、友達の家もしくは自宅でゲームをするかであった。

有体に言って退屈をしていたわけだが、当時はそれが退屈だとは思っていなかったどこにでも居る高校生だった。

そんな最中、当時の全資金で購入した「SEGA MEGA-CD(以降メガCD)」が壊れた。

それまでのメガCD

残念な出馬だったメガCD

「メガCD」は1991年12月12日発売 定価49,800円 で発売されたメガドライブの拡張CDユニットである。

その定価なんと約5万円。

店頭では2割引きくらいで売られていた実売価格も相当なもので、溝の口のシータでも4万円台という価格は一介の高校生がなかなか買えるような金額ではなかった。

だが、その年は久しぶりに『近所のほとんどが同じ苗字』という田舎に帰り、親戚一同からのお年玉が極めて豊作だったこと。
更に発売日が12月だったので『クリスマス』と『正月』の前借りをもって、まさに渾身の一撃を持って購入した

次々にリリースされるPCエンジンのCD-ROM2対応のゲームを横目に、これからのゲームはROMカートリッジではなく、光メディアのディスクこそが主流だと痛感する中、遅ればせながら颯爽と登場したメガドライブ専用のCDROMユニット

メガドライブユーザーとして、CD-ROMのゲームに憧れを抱く者として、これ程待ち望んだハードは無かったと言ってもいい。

こんなに購入に全力を注いだメガCDであるが、正直なところ、登場時のメガCDは期待外れの残念なハードだった。

ハードの評価はリリースされるソフトの数と質がすべてだ。
メガCDはその両方が足りなかった

同時に購入したシューティングゲームの「ソル・フィース」で高まった期待感は、そのわずか1週間後、ある種伝説のゲーム「ファンキーホラーバンド 惑星ウッドストック」を発売日に購入した事によって完全に打ちのめされた。

♪ Fight and fire 終わりが近づいている
Cry and try 今こそ叫び続ける♪

#惑星ウッドストック オープニング曲 「アトランティスを探して」より

このオープニングで予言されたかの如く、この「惑星ウッドストック」を買ったユーザーは「叫び続ける」しかなかったであろう。

その後、「天下布武」と「ルナ ザ・シルバースター」のゲームアーツ作品によって、メガCDは一時的に価値を取り戻したのだが、1992年当時、残念ながらその後に続く作品が無かった。
※「ノスタルジア1907」など個人的に好きな作品はある。

メガCDの故障

そんな私の期待を一心に背負ったメガCDがある日突然壊れた。

初期症状としてまずトレイが開かなくなった。
そう、ゲームディスクが取り出せずに入りっ放しになってしまったのだ。

そして、しばらくはトレイが開かないだけだったが、そのうちゲームディスクを認識しなくなった。

メガCDの起動画面、例の空にロゴが舞い踊る画面は表示されるのだが、ゲームディスクをいつまで経っても認識せずゲームが起動できない。

「ダメです!メガCD起動できません!」

心の叫びもむなしく、本格的に上記症状になったのは1992年12月頃

この時期は今でもよく覚えている。

まさにメガCDを買ってからちょうど1年が過ぎ、「1年間の保証期間」がなくなった直後に発したからだ。

まだ、まったくと言ってもいいほど満足いく活躍をしていないメガCD。
今後まだ見ぬ名作が登場する事を夢見てやまないこのハードが、今ここで倒れられては困るのだ。

セガ サポートへ電話

メガCDの隠しコマンド:強制CDイジェクト

サポートに電話する決意をした放課後、どこにも寄り道をせずまっすぐ家に戻った私は、壊れたメガCDの修理のため初めてセガのサポートセンターに電話をした。

サポートセンターに電話するという行為自体、私にとっては初めての経験だった。

平日の午後、メガCDの説明書に記載されていたセガのサポートセンターへの電話はすぐに繋がった。

そして、案内されるまま現在発生している故障の症状

「メガCDのトレイが開かない。ゲームCDを起動できない。」

を伝えた。

きっと緊張してうまく説明できていなかったと思う。

サポートの人は、症状を確認するためにいくつかの方法を教えてくれた。

まず中に入ってしまったCDを取り出す方法として

「メガCDのトレイ強制イジェクトモード」(隠しコマンド)

を教えてくれた。

コマンドは、

「電源を入れる時、スタートボタンとABCを同時に押しながら起動(うろ覚え)」

ような感じだったと記憶している。

早速試してみると、

ウィィィィーン(チャリラ ラリラ ラリラ←トレイが開いてますの効果音)

開いた。

教えられた方法で、開かずの岩戸と化していたメガCDのトレイが見事開いたのだ。思わず小躍り。

コマンドで開くとかゲーム機本体に裏ワザか!
もう大興奮。説明書にも書かれていないコマンドで見事CDトレイが開いた。

次にサポートの確認は、

「別のゲームをCDトレイに入れて起動してみて欲しい」

との事だった。

別のCDを入れてみたが、やはりゲームは起動しなかった。

再び開かなくなったメガCDのトレイから、またもや強制イジェクトモードでCDを取り出した。

サポート相談の結論はやはり、

「調査が必要なので指定の宛先まで郵送して欲しい」だった。

私は一番気になっている事を聞いた。

「修理にはいくらかかるんでしょうか?買ってから1年過ぎているのですが……」

『修理や調査にかかる金額が解り次第連絡します』

と伝えてくれた。

ちなみに修理でパーツ交換を行った場合、1万円以上かかってしまう場合がある、との事だった。

定価49,800円のメガCDである。
保証期間終了後の修理にはそれ相応の費用が必要なのだろう。

メガCDをサポートへ郵送

一枚の手紙と共にセガへメガCDを送る

メガCDの隠しコマンド「強制イジェクトモード」を知って若干浮かれていた私ではあったが、残念ながらそれでメガCDが治ったわけではなく、セガへ郵送することとなった。

こうなってしまうと特に出来る事はなかったのだが、メガCDと一緒に手紙を書いて同封した。

「いつもセガのゲームを遊んでます。また早く遊びたいです」

という内容を便箋で一枚程度にまとめてメガCDと一緒に送った。

どうか無事に治りますように。

帰ってきたメガCD、気になる修理代

セガのサポートへメガCDを送付してから、しばらく連絡は来なかった。

そして、そろそろ年の瀬に差し掛かろうという頃、送付してから2週間ほどでメガCDは帰ってきた。

以前サポートに連絡した時、

「修理や調査にかかる金額が解り次第連絡する」

との事だったが、特にその連絡も無いままにメガCD本体が返送されてきたのである。

送られてきたメガCDに同封されていた修理表には

・ユニット交換
・レンズ交換

の項目が記載されていたが、肝心の修理代金についての表記は一切なかった。

そう、メガCDの修理は無料だった。

この時の修理費用の基準は今でもよく解らない。

保証期間後の修理が通常このように無償で行われるものなのか、手紙を読んでくれたサポートの人が特別に対応してくれたという良い話なのか、またまた内部リコールに近い頻度で故障が発生していて無償対応をしていたのか、まったくもって不明である。

ただ、当時の私は解釈は一つしかなく、セガのスペシャルサポートとその心遣いに痛く感謝をしていた。

修理から戻ってきたメガCD、たった一つだけの変更点

さっそく帰ってきたメガCDの電源を入れてみると、いつもの見慣れた青空にMEGACDの文字が舞う画面が現れた。

いつもと同じ画面だったが、一つだけ修理前と違い事があった。

起動画面右上のBIOS表示が

SEGA 1991 Ver1.00

から

SEGA 1991 Ver1.01

となっていた。

起動画面の表示が、Ver1.01になっても違った事は何一つなかったのだが、メガCDを起動する度に表示されるこのわずか0.01の違いが当時はすごく嬉しかった。

 

メガCDの故障にまつわる私の話はこれでおしまいだ。

その後、メガCDでプレイしたゲームはさほど多くなかった。

スーパーファミコンでは出来なかった二人同時プレイをひっさげた「ファイナルファイトCD」、RPG不足のメガドライブでは十分楽しめた「聖魔伝説 3×3EYES」(ワゴン入り)、狩人の夢、振り向けばヤツが居た「夢見館の物語」、個人的には佳作レベルだった「シャイニングフォースCD」。

そして最後に、晩年の圧倒的名作「LUNAR エターナルブルー」の登場によって私の中でメガCDの活躍はピークを迎え、その後は次世代機の中で思い出となっていったである。

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